東京都 消防団操法大会 見学紀行

totaikai  10月16日(土) 東京都 消防団操法大会の見学に行って参りました!
独自の操法をされている東京都の消防団ではありますが、装備&士気ともに旺盛で
学ぶべき点、感動する場面の多い操法でありました。 ココではその様子を写真を
交えて、なるべく分かり易く ご紹介したいと思います。

 消防団のポンプ車操法大会は「火災現場での活動を想定した実践的な訓練であって
団員の士気や統率向上」を目的に行われている行事ですが、様々なスポーツと同様、
市区町村大会、都道府県大会、全国大会が行われており、厳しく長い訓練を耐え、
勝ち抜いて、栄光を手にする事ができる感動的な団体スポーツでもあります。
 その競技内容は規律正しく、いかに早く水を出せるか、、、という事に尽きますが
今回 見学させて頂いた都大会は、市区町村大会を勝ち抜いてきた栄光ある消防団員の
大会であっただけに、各代表の成績は別として、皆が素晴らしく輝いて見えました。
 前置きが長くなりましたが、ごゆっくり御覧下さいませ。


午前の部 ~ポンプ車操法~

ポンプ車操法は、我が所沢市でも行われている消防自動車を利用した
操法です。 6人の選手がそれぞれに役割を分担し、すなわち・・・
1番員は第一線放水長を,
2番員は第一線ホース伸長・放水補助/第一線放水開始・第二線延長伝令/第二線放水長を,
3番員は吸管投入/トビ口搬送/第二線ホース伸長/第二線放水開始・放水停止伝令を,
4番員は機関員としてポンプ車の運用を
行い、この他に
全体の指揮官として指揮者が,
吸管が水槽から出ないように押さえ、機関員の補助を行う吸管補助員が居ます。

 所沢では、タイム重視という事で 規律をある程度省いてもスピードを
高める事が重要視されるようになってきましたが、都大会ではどうなのか、
そのあたりを中心に、じっくり見てきました。

totaikai_01 都大会の開始は午前9時40分からでしたが、我々が到着したのは
開会式の最中でした。
開会式は出場チームの皆さんにお任せして(苦笑)、早速、車両待機所に
なっている東京消防庁消防学校の室内訓練場を見学に行きました。
 目に留まったのは新品のように磨き上げられた消防車と、整理された器具!
さすがに都道府県大会ですから、その程度たるや 我々が市の大会でやって
いるようなレベルではありません。早速色々と見て回る事にしました。
 おっと、早速ありました、、、特許であります。ホースを担いだ時に
ズレのないようにするマジックテープのようですね。 当然ながら我が市
では見た事がありません!

ホースの巻き方も素晴らしいのですが、これは競技用のホースでしょうか?
凄いネームがついています。。。 これだけビシッときつく巻いてしまうと
競技中の緩みが無い反面、水の流れが悪くなるような気もしましたが、
それは要らない心配でした。。。
私達はホースを伸ばして「放水始めッ!」の号令から少しでも早く水が
ホースを駆け抜け、タイムが一秒でも縮められるように 巻き方を変えたり
して試行錯誤をするのですが、このホース、タイム的には小細工を施した
我々のホースと同じかそれ以上だったように思います。
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totaikai_03 都大会だけに、各市区町村の様々な車両を見る事ができました。
これは後付で自動揚水システムが組み込まれているのでしょうか?
ホースの位置、ポンプの形状も様々で、各出場隊とも そのポンプ車に
適した様々な手法を取り入れ、研究熱心に訓練をされてきた事を伺い
知る事ができました。

いよいよ開会式も終わり、続々と出場分団の選手が集まってきました。
 本番前ですから さぞや緊張されているだろうと思い、ジャマになら
ないよう、こっそりと車両待機場所を出る事にしましたが、選手の顔を
チラリと見る限りでは 緊張よりも むしろ清々しさを感じました。
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totaikai_05 いよいよポンプ車操法の部の演技開始です。 消防庁職員の方々を中心
に組織化された裏方を担う方々も忘れてはなりませんね。
競技の進行が滞る事のないよう、役割分担が明確になされていて
競技の間隔がなかなかに早いものでした。

ポンプ車の入場が済み、いよいよ演技の開始です。
我々は車両待機所からぐるりと回って、標的(火点)のある側から
じっくりと競技を見ることにしました。左側のテントは出場隊関係者席
右側のテントは奥が来賓受付,放送所,大会審査員席となっているよう
でした。
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totaikai_07 審査員の方々の旗が振られ、指揮官(指揮者)が前に進み競技が始まり
ました。 手前では、裏方の人達が一生懸命に打ち合わせをして
らっしゃいます。

ホースもピシャリと伸びて放水が始まりました。
どの出場隊も さすがに水が出てから的を倒すまでも早く、かなり
熟練してるな、、、と思わせる演技でした。
 しかしアッ!っとビックリ。。。我が市で行われている操法とは
放水前の手順が全く違います。 これには驚きました。
どっちの方法が良いのかは さておき、こんなやり方もあるのか、、、
と感心した一幕でした。
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totaikai_09 2番員が放水始めの伝令から戻るとまたしてもビックリ。。。
水を出さない、通称「カラ操法」と呼ばれている操法では行われていた
注水姿勢の変換(右や左に放水の向きを変える)が あるではありませんか。
強烈な圧力で送られてくる水は大変重く姿勢を保っているのも辛いのですが
これを難なくこなしてしまう選手の皆さんには、感心しました。
 注水姿勢の変換も終わって いよいよ第二線延長が始まりました。
既に伸長されているホースでの放水はそのままに、ポンプ車の反対側から
もう一ルートのホースを延長し、第一線と同じように放水を開始します。
その後、放水止めの伝令が終わると納めの号令で演技が終了へと進行します。

終始 驚かされっぱなしの操法でしたが、皆さん本当に良く鍛錬されていて
士気も旺盛で 見ていた私も終始感動できた演技でした。
良い点は生かせるように、しっかりと目に焼き付け、喫煙所で一服しながら昼食
を食べる場所を探しました。


午後の部 ~可搬ポンプの部~

可搬ポンプ操法は、小型のポンプを器具類がすっきり収納された2輪車に
載せた車両で行う操法です。(東京都の場合)
ポンプ車同様に 6人の選手がそれぞれに役割を分担し、すなわち・・・
1番員は放水長を,
2番員はホース伸長/放水補助/伝令を,
3番員は吸管投入/トビ口搬送/一本増加補助を,
4番員は機関員としてポンプ車の運用を
行い、この他に
全体の指揮官として指揮者が,
吸管が水槽から出ないように押さえ、機関員の補助を行う吸管補助員が居ます。

 全国各地の特に山地の多い地域で、小回りの利く運用が可能な事から
配備され、各地で盛んに操法が行われているようですが、我が市では十箇
分団すべてがポンプ車を持ち、可搬ポンプは自衛消防隊が保有しています。
ビデオでは その操法を見た事がありましたが 実際にこの目で見るのは
初めてという事で 興味深く拝見させて頂きました。

totaikai_10 午前中の競技の遅れも多少あって、慌ただしく昼食を終えていよいよ午後
に突入。可搬ポンプの部が始まりました。
例によって早速、車両待機所に行き、集中力を高めている選手達の邪魔に
ならないように こっそりと器具類を拝見しに行きました。
 御覧下さい!! 新品かと思う程の磨きつくされたエンジンです。
いやはや素晴らしいですね。器具への思いやりさえも感じられます。
一緒に積んであったホースが また凄かった! ポンプ車の部でも
かなり驚きましたが、寸分の狂いもなくビシッと巻かれたホースで、
恐らく機械で巻いたのではなく、職人芸を思わせるホース巻きの達人
が巻いたモノと容易に想像できました。

御存知、「消防の街」の一丁目2番地の住人、品川2としさんのヘルメット
を発見。なんと名前入りでした。 所沢では耐火服のヘルメットがこの色
で、操法などに使われるヘルメットは白なんですが、東京都の23区はこの
色みたいですね。
 普段お世話になっている品川さんだけに、ここは是非とも一生懸命応援
させて頂かなくては、、、と思いつつ車両待機場を後にしました。
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totaikai_12 いよいよ可搬の部がスタートしました。続々と出場隊が待機場から姿
を現し、気合い十分、、、一回限りの本番に全てを賭けます。
ポンプ車では、1線・2線と2系統で3本ずつホースを伸長して放水を
行いますが、東京都の可搬ポンプの場合は1系統、1線のホースを3本
伸長した後に一旦放水を停止して、一本ホースを取りに行き、放水長が
筒先を外して待機,取ってきたホースを延長して接続し、その先に筒先
を繋ぎ直して また放水するという やり方をしていました。ポンプ車
の「2線延長」に対して「1本増加」と言うそうです。

裏で凄い号令が聞こえたので駆けつけてみました。
どうやら本番を前に選手みんなで気合いを入れ直してる様子。。。
出場隊によっては、壁に向かって一列に並び 目を閉じてイメージ
トレーニングしている所もありました。 緊張で頭が真っ白になっても
自然に体が動くくらいに鍛錬してきてるのですから、各自のやる事は
当たり前のごとく全て頭の中に詰まっているんでしょうね。
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totaikai_14 いよいよ品川隊の選手の皆さんが姿を現しました。
品川さんは12番目でしたので、それまでにかなりのチームの演技を
見ることが出来、可搬とはどのようなものか、自分の中でだいたいの
イメージを作る事ができました。 でもやはり基本はポンプ車と同じ。
一連の走って止まる動作の節度(手の位置や姿勢など)とホースの伸長具合
,タイムが重要のような感じでした。それでも決められた操法のルール
の中でスピードを重視するチームがあると思えば、スピードをある程度
殺してもビシッと動作を決めて魅せるチームもあり、各隊とも個性的で
やった事がない私でも十二分に感動&感心できるモノでした。

居ました! この方が品川2分団の水村さん(としさん)です。
ちょっと緊張してるようですが、やる気十分! 早速 ジャマにならないよう
タイミングをはかって激励させて頂きました。
でも、かえってプレッシャーかけちゃったかもしれません(汗
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totaikai_17 いよいよ品川さんの演技開始です。 各自最終の器具点検を終えて
水槽脇の待機線に進むべく、指揮者の号令を待っています。

我々所沢の大会では、一隊ごとに操法演技の開始と終了を消防団長
に報告しますが、都大会では一隊が終わると次の一隊と合同で終了
および、開始の報告を行う決まりがあるようで、選手の皆さんは
本番を前に大観衆の取りまく会場で結構長いこと待たされてしまう
ような感じで、心境は如何なものかと 余計な心配をしてしまいました。

指揮者の号令がかかり、待機線に集合。いよいよ品川さんの演技が
開始です。 気合い・迫力とも見ているだけで十二分に伝わってくる
素晴らしいチームワークでした。
 品川さんをはじめとして都の可搬の部は持ち回りで各分団の優秀選手から
なるセンバツチームを作り、訓練を重ねて大会に望んでいるようでしたが、
市区町村大会までとは違うメンバーになるわけで、相当に訓練された
事が想像できました。
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totaikai_21 操作ぁ~はじめッ!の号令とともに、吸管をポンプに接続,水槽に投入,
ホース伸長・・・と、流れるように演技が進みます。
品川さんはタイムを犠牲にして節度重視の操法をされているようでした。
スピードも重要なのでしょうが、やはり見ている方にとっては、ビシッと
要所を決め、緩急のケジメをつけて演技している所の方がアピール度が高く
見ていて気持ちの良いものでした。 長年可搬ポンプに携わってこられた方々
には、ココからココまでを何秒でやると驚くとか、ココをこのようにして
やり遂げたら素晴らしい!というようなものが あると思うのですが、
いかんせん我々は可搬に関してド素人なので、素直に見た目で判断しており
ました。もちろん言うまでもなく全ての出場隊が素晴らしかったですが。。。

一回目の放水が終わって いよいよ一本増加です。
放水長の補助をしていたゼッケン2をつけた2番員が走ってきます
ポンプを操るゼッケン4をつけた4番員(機関員)からホースの受け渡し
を済ませ、回れ右で全速駆け足 放水長の待つ地点へ急行します。
一方、機関員はポンプの操作をすべく、ホースを受け渡した直後に回れ右
ポンプの操作部に急ぎます。
このころ、機関員が一旦送水を停止するのを待って 放水長が筒先を外し
トビ口を構えていた3番員がホースを持ち上げて2番員のホースを到着を
待っている、、、といった状況です。
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totaikai_23 品川さんの演技もいよいよ大詰めです。 2番員が一本増加して再び
放水長の補佐を務め、指揮者の号令とともに放水停止の伝令に走って
きました。 機関員が復唱して送水を停止し、収納を行い演技終了!

 節度の素晴らしかった品川さん、矢口さんが上位に食い込むであろう
と予想していましたが 栄冠はスピード重視の演技をした世田谷さんの
頭上に輝きました。 やはり、東京都もスピードを重視した審査をされて
いるんだな、、、というのが今回の見学の感想でした。


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