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所沢市では2015年に消防無線のデジタル化が実施され、消防団でも車輌や
詰所の受令機が交換され、続いて2016年の夏に携帯型のデジタル無線機が
各分団に1台ずつ支給となりました。
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それまで使っていた市販のアナログ無線機や受令機は全て使えなくなり、
また通信に暗号化処理が施されているデジタル無線機は個人では購入する
ことができないということで、この支給された たった1台をどう活かすか
という問題に直面しました。
しかも、我が分団の管轄する山口・上山口地区は、狭山丘陵に囲まれた盆地。
地上デジタル放送の受信感度も芳しくないところが多い地域で、ビルの谷間
などというロケーションでは目も当てられません。
アナログの時も別売りのアンテナを立てたり工夫して聞いていたのに、デジ
タル化されたからといって、すんなりと聞ける筈がありません。
万一の時に備えて聞けなければならないが、殆ど聞こえない,聞こえが悪い
のが1台!ということでは お話になりませんから、なんとか対策を考え
なければなりません
が、支給された無線機はアンテナの付け替えができない携帯(ハンディ)型
このアンテナ部分に手を加えることは改造行為になり、法律で禁止されて
いて、出来ません。 では、一体どうしたら良いのでしょうか・・・?
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アレやコレやと頭をひねり、あ~でもない、こ~でもないと考え、調べ、
やっと辿り着いたのが、別冊CQ誌のバックナンバーに載っていた、
「既存アンテナを八木アンテナの給電部に見立ててしまう」という方法です。
そもそも無線やアンテナを知らない人間からすると、アンテナ全体に通電でも
しているのだろうと、分離して考えるなんて思いもしませんし、難しい理屈が
あるに違いないなどと、ついつい思ってしまう訳ですが…世の中には凄い発想を
なさる方がいらっしゃるものですね、目から鱗というか まさに衝撃でした。
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八木アンテナというのは・・・家庭の屋根の上に乗っている一般的な地上
デジタル放送のアンテナに広く使われているアンテナで、
電波が飛んでくる方向にアンテナを向けると、導波器・反射器と呼ばれる
金属の棒の部分(エレメント)に、電波が当たり反射して増幅され給電部に
集まる仕組みのアンテナで、戦前 東北大学の研究者だった八木博士が発明
したことに由来します。
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骨組に塩ビ管や木材など、電気を通さない性質のものを使い、エレメント
と呼ばれる棒には電波が反射しやすいように 金属の棒を使います。
変な話、割り箸のような木っ端材とビニール傘の骨でもあれば、あとは寸法
さえ分かれば作れてしまいます。
では、肝心の寸法の方は…というと、、、
・エレメントの長さは、「波長の1/2」,
・エレメントとエレメントとの距離は、「波長の1/4」
・「波長(m)=300÷ χ(MHz)」
この3つのルールと法則を知っていれば、求め方は簡単です。
総務省の資料によれば・・・正確な周波数は分かりかねますが、
消防デジタル無線は260MHz帯ということになっていますので、
波長は…300÷260で、約1.1538m。
・・・この1/4ですからエレメントの間隔は約0.28m,
エレメントの長さは倍の0.56m
つまり間隔:28cm,エレメント長:56cm程あれば、消防無線を
傍受するアンテナとしては期待する性能が得られるという事になります。
もう少し正確なものを作りたい場合は、デジタル無線に対応した消防車
の屋根に立っているアンテナの長さを計れば、これはメーカーさんが
正確な周波数を知った上で「波長の1/4」の法則に則って作られている
ものでしょうから(アースなどをとっている等 特殊なものを除く)、ズバリ
正確な周波数に対応した寸法が分かる筈です。
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ホームセンターで水道用の塩ビ管と銅棒を買ってきて、得られた寸法の間隔で
塩ビ管に穴を開け、銅棒をエレメントに使いホットボンドで固定した、ただ
それだけの、安価でお気楽な工作ですが・・・なんということでしょう!
私の環境下では今まで まともに無線が傍受できなかったのがウソのように
ビックリするくらい無線が聞けるようになりました。
導波器部分のエレメントを増やせば、それだけ電波を拾いやすくなると
思いますので、アンテナ部分が巨大になってしまい、別途 固定方法を考え
なければなりませんが・・・電波の飛んでくる方向さえ分かっていれば、
理屈上は性能の向上が期待できます。
無線の入りが悪かったり聞けなかったりして困っている方、お試しになって
みては如何でしょうか。
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